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2006年11月04日
......
一寸先も暗闇の、一面真っ黒な世界。
明かりもなくただそこに自分がいる。
A「ここはどこ……?」
ぽつりと呟いた自分の声に応える者がいた。
B「ここは君が見ている夢の世界さ」
A「僕の……?」
B「そうさ」
A「なんで僕の夢なのに君が言い切るのか釈然としないけどまぁいいや。そんな気もするし」
B「だろう?」
A「じゃあ、僕は夢を見ているんだ……」
B「そうさ。ここは君の夢の世界。だからここで何が起ころうと何を起こそうと、それは君の自由意思によって決定されるってわけ。言ってみればこの世界の創造主ってとこかな。それは格好よすぎか。ま、そんな感じ。分かったか?」
A「……なのになんで君の方が偉そうなんだろ」
B「それは君がそう思ってるからさ。人の上に立つよりも人の下でモソモソ動いてる方が性に合ってると思ってるから。だめだね。そんなんじゃ社会に出ても初級管理職がせいぜいだよ。負け犬根性が染み付いちゃってるんだ、あんた」
A「なんかムカついてきた。消えろ」
シュン、と音がしてBが消える。
A「ふぅ。なんかスッキリしたな。でも、ホントに思い通りになるんだ。そっか、これが夢の力か」
?「ふふふ。それは違うんじゃないかな」
A「誰だ!」
?「いやいや誰だって言われても。君が呼び出したんじゃないの?」
A「そう言われるとそうかもしんないけど、別に呼んだ覚えもないし。やることないから、きっと話し相手が欲しい気持ちがあったのかも」
?「だったら消さないでよ……」
A「うん?」
?「いやなんでも」
A「…………」
?「…………」
A「……なんか、妙に気まずい気がする」
?「……僕も。あ、そうだ。僕にも名前つけてよ。カッコいいやつ」
A「じゃB」
B「うわ考えてない。あ、既にこのせりふのカッコの前もBになってるし」
A「なんだかよく分からないけど分かるから不思議だ」
B「もぉいいよBで。てゆーかBだし」
A「知ってたし」
B「……君、なんか人が変わったように冷たくなってない?」
A「慣れてきたからかな」
B「慣れは怖い。成れの果てには馴れなれしくなればいいけど――て、どうこれ?」
A「消えろ」
シュン、と再びあっさりと闇に飲み込まれるB。
A「さて静かになった。けどやっぱり話し相手はいるな、うん。ここ何もないし。てか見えないし。今度は普通の人を…うーん。うーん。はっ!」
ボーン、と。なんだかよく分からない効果音と共に人の気配が生まれ、声が聞こえる。
C「どぅも、Cでーす」
A「既にCとか名乗ってるし。テンション軽いし。てゆーか外人っぽいしっ!」
C「あなたの設定でーす」
A「うわ、うぜえ」
ポシュン、と音がして消える。
A「これ本当に俺の意思働いてんの? 信じらんないし。けっこう自分不審」
D「人は誰しも一度は自己の存在意義を真剣に考える時がくる」
A「うわびっくり。突然出てくんな」
D「現在の自分とこれまでの成長の過程。出会いと別れ。卒業と失業。失恋と自己への失望」
A「さりげなく負の感情多いながらも韻を踏んでて上手いし」
D「ちなみに私は失恋中で失業中だ」
A「聞いてないし!」
D「君も失恋中だ」
A「うるさい」
D「私は事実を述べたまで。この世の真実を明るみに出すのが私の使命」
A「世間ではそれを余計なお世話って言うと思う」
D「馬鹿な!」
A「おまえが馬鹿だ」
D「むぅ……」
A「あ、図太そうで意外に繊細。自己紹介してみてよ」
D「必要であれば明かそう私の素性を。名前は恭子。おとめ座のO型で永遠の16歳。今が旬のぴちぴちの女の子――」
A「よし分かった。100歩譲って名前は強固。32歳のてんびん座のAB型オス。これでいこう。いやならDだ」
D「夢がないな。夢なのに」
A「うわ夢の住人に夢がないとか言われたくないし」
D「じゃあ君には夢があるのかな」
A「え、突然そんなこと言われても……」
D「ほらみたことか。ちなみに私には夢がある」
A「……自分が夢のくせに」
D「ん?」
A「いやなんでも。なに? 夢って」
D「この世界を我が物にすることだ」
A「うわ怖え。よく考えたらそれって人格乗っ取る宣言!? 起きたらあんたが俺の身体を支配してるってこと?!」
D「その通り」
A「否定しないし!」
D「ではさっそく」
もそもそと、近くにいる(のだろう)Dが動く気配がする。
D「ふっふっふ……」
A「やめろ! その手に持った金属バットをしまうんだ! て、なんで見えないのに金属バットか分かるのかよく分からない俺。あ、自分がそう感じたからか! えーと、じゃあしまえそのムースポッキーを! いや、だったらしまわなくていいのか……えーととにかくうわぁぁぁああああっ!!」
ゴン、と鈍い音がしてAが倒れる。でも夢は覚めない。
D「さてこの世界の支配者は私となった。とりあえず国づくりの基本は人だ。労働者だ。奴隷だ。話し相手も必要だ。寂しいから。えーと、とりあえずなんか出ろ人」
ボシューン、と煙がもくもくと立ち上っているような特殊効果を感じながら2つの人の気配が生まれ出る。
(こんな感じで永遠に)続く
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